前の部屋に置いてあったものを全部置いたのに、部屋は殺風景だった。 寂しい、な。 「……広すぎ、だよね」 寂しくなるだけ、こんな部屋。 ダンボールを片付けようとした時、ドアが音を立てる。 「………はい?」 「俺、だけど」 ドアの向こうに、少しこもった敷浪櫂の声。 「入っても、いい?かな」 「どぞ」 部屋に入るなら別にいい。 なんか気に触ることを言ったら出てかせればいいだけだ。 「……なんすか」 そう言うと、敷浪櫂は遠慮がちに 「もっと涙ちゃんと話したくて」 って言った。