白いドア、金のドアノブ。 クルリと回して、ドアを開けた。 そこに立ってたのは 「あ、おかえりっ」 ──敷浪櫂。 「……………」 おかえり、とか 言われたことなくて。 軽く頭を下げて、リビングに入った。 新しい匂いがした。 お母さんと『お父さん』は、荷物を出して片付けていた。 「あ、涙、帰ってたの」 ──ほら。 「……部屋二階?」 おかえり、なんて 言ってくれない。