でも帰らないなんて、 新しい家族が出来てすぐ出来ないから しぶしぶ家に帰った。 言ってたとおり、新築。 表札を見て、足を止める。 ──敷浪。 そっか。 自分は今日から 井沢涙から 敷浪涙になったんだ。 把握しろ、この現実を。 ドクン、ドクンと煩いほど鳴る胸を必死に落ち着かそうとする。 リストバンドを握って、 「…………」 ゆっくり、足を進めた。