「……すごくつらい」
ボソッと答えた言葉。
聞こえるか聞こえてないか、わからないくらいの大きさを、阿藤先生は聞き逃しはしない。
「慣れてこればそんなに痛くはなくなってくるけどね」
うーん、そう唸りながらカルテを見る。
──・・・ねえ、
今なら教えてくれる?
大丈夫。
「……先生」
蚊の鳴くような声が、自分の喉から出た。
それに反応した阿藤先生。
カルテを書いている手をぴたりと止めた。
緊張が走った。
空気が張り詰めた。
「…………」
声が出ない。
「涙ちゃん?」
──・・・訊こうか。
『自分の病気』を。


