────── 気が付いたら自分の部屋にいた。 視線を動かせば、櫂兄が部屋から出て行くのが見えた。 倒れる前見えた櫂兄の顔は、夢じゃなかったらしい。 ──・・・運んでくれた? 「……はぁ…」 視線を動かすだけで、頭がズキズキした。 ベッドの近くにあるランプだけが、真っ暗の部屋に明かりを灯していた。 櫂兄が付けたんだろう。 真っ暗闇に、ホタルのような優しい光。 それはまるで、櫂兄。 ──・・・櫂兄みたいだ。