「あっそ」
そっけない返事を返される。
うん、もしかすると、このまま上手いこと会話に発展するかも。
「黒木さんは、何をしにきたの」
といっても、先述の通り、それなりの予想はついていたのだけれど。
「なぜそれを教えなければならないの……はっ! ま、まさか委員長、この場所にわたしが来ることを見越して先回りしてきたのではないの!? そして上手に会話を発展させてわたしとの距離を縮め、バラ色の学園生活をぬけぬけと享受しようとしたのではないの!? ……させないわよ、そんなの! あなたにそんなこと、教える義理なんてないわ!」
おーうおーうおーうおう。
なんというエゴイズム……いや、エゴイズムではないな。自意識が過剰なだけか。
否定しないけれど、先ほどのモノローグを取り消したくなった。
なんだよ、ぜんぜん話せないじゃないか。黒木柿木。
精緻な小顔に反比例して、彼女に人望が無い理由が分かろうものだった。
もう、なんというか。
「…………。えー。…………ばいばい」
立ち去る以外に、どうすればいいんだよ。
