僕は量販店の自動扉を後にして、黒木さんの残る店内を一瞥した。 深い意味は無い。 ただ、気がかりだったのである。 白息に寒さを実感しながら、買ったばかりのジャケットに袖を通してみる。 うん、なかなかの着心地だ。これなら得だよね。 肌が寒さを感じなくなるにつれて、今度は思考力が回復の兆しを見せ始める。 どうでもいいことをかんがえよう。 そう、どうでもいいことを。