【長編】sadist and masochist love stories

「みなみ、なんかした?」

さっぱり、わからん。


「なんで、柚希さんに冷たいわけ?」


母さん?


それで、怒ってんの?


「別に。
てか、俺が優しくせんでも湊司は母さんに優しいからいいんだよ。」


拗ねてるようなもんだ。


なんだかんだで除け者にされた感があるから。


「なんだ。
寂しいだけか。」


「別に。」


「私がいるからね。」


みなみが俺を抱きしめてくれた。



「ありがとう。」


俺もみなみを抱きしめ返した。


不思議な不安はたくさんあった。


理由だってわかってたのに気づかない振りをした。


だって、すべてが湊司だから。


羨ましかったり、尊敬する湊司。


だけど、その逆に妬んでしまう。


卑しい心。


それが嫌だった。


負けず嫌いなのに、湊司が関わると諦めたくなる。


そう思う自分が嫌だった。


けど、みなみが気づいてくれて大丈夫みたいだ。