Symphony V

にしたとしても、だ。番号が勝手に登録されるはずはない。


稜夜先輩、が、私の携帯に…自分の番号を入れた…？


考えられる可能性が、それくらいしか浮かばない。いくら昨日の記憶が若干あやふやだとしても、番号の交換をしたことを忘れるはずがない。


じゃあなんのために？自分で人の携帯に番号登録するとか…それってなんかおかしくない？


本当にこの番号が稜夜のものなのか、なぜ番号が入っているのか。直接聞いてみるのが早い、と、稜夜の番号に、唯は折り返した。

「・・・でない」

ぷるるるっと電子音が数回鳴ると、留守番電話へと移る。
何度かかけてみるが同じ状態になる。

「ま、昨日帰ったのも遅かったし、まだ寝てるんじゃないか？」

レオンがとなりに座って唯の手に持っている携帯を覗き込んだ。確かにそうかも、と、唯もパクンと携帯をたたんだ。


少しだけ、胸の奥に引っかかりを感じながら、唯はじっと携帯を見つめた。