Symphony V

高遠ゆかり。

当時、国会議員であった高遠稜輔の妻で、地元有力者の一人娘。稜輔と結婚した後、息子を一人授かり、それをきっかけに稜輔とともに地元に戻った。

5年前の夏のある日、北海道旭川市のとある公園の池で、遺体で発見された。

事件のあった日、ゆかりは稜輔と息子の稜夜とともに、2泊3日の家族旅行に来ていた。

当初は事件と事故、両方の線で警察は調べていたが、結局、事件性はないと判断され、この件は事故として処理をされた。


ゆかりの泊まっていたホテルを調べる。
なぜかうっすらと見覚えのある感覚がした。


『あの子はあなたの出世のための道具じゃないの!』


『私は反対よ!……には自由に生きる権利があるもの!』



階段、踊り場。
言い争う男と女。


ぎゅっと、誰かが私の手を握ってくる。

…小さな、男の子……?



事件のあった公園を調べる。


『お母さんとはぐれたんだ』


『あんたなんか死んじゃえ!』





調べていくうち、忘れていた小さいころの記憶がフラッシュバックする。