「外に出てもいいけど、遅刻するのは紅葉、お前だぜ?」


「なんで、私が遅刻するのよ・・・。まだ7時じゃない。」


「今日は終業式だから、朝が早いんだよ。ま、そのかわり終わるのも早いからさ、とっとと支度して俺のチャリに乗れよ」


私は、反射してあわてて支度しようとしてしまったけれど、何か大事なことを忘れている気がして、昨日の記憶をはっきりと、まるで映像がよみがえるように思いだした。


「・・・・ねぇ、昇・・・・私、昨日家で寝てなかったよね。一緒にあの裏路地に入っていって、昇とはぐれたじゃない・・・。なのに、どうして私は今ここにいるの?」