紅の系譜

誰も助けてくれない…想像すると身震いがした。

「どうした…?急に怖じ気づいたか?」

この男は、私の反応を楽しんでいるようだった。本当に趣味が悪い。


「そんなことないわ…。しばらくしたら、私行くから。」


今いる場所は、廃ビルの一角にある部屋らしかった。乱雑に捨てられたデスクや置き去りにされた事務用品が並んでいる。

「ところで、私はいつまでここにいればいいの?!こんな暗い部屋じゃ、気が滅入るわ…」

電気が入っているかはわからないけど、とりあえず何も見えないから扉の近くにあるスイッチを押した。