紅の系譜

目の前には、昨夜見た男が理事長室の机越しに立っていた。


声のトーンからすると、真だろう。


「急に呼び出して悪かったな。驚いたか?」
「あなた、この学校の理事長だったの?」


なるべく、この男の前では平静を装うとした、そうでないと、また隙をついて何をされるかわからないから・・・。


「そう、固くなるなよ・・・。今日はアンタに話があって呼び出させてもらったんだ。話がちょっとばかり長くなるんでな、そこに座りな。」


「話なら、早くしていただけますか。私も、忙しいので。」


理事長室の机の向かいにあるソファーに座ったものの、私の気は競っていた。