紅の系譜

そもそも、学校に来た時点から、何かがおかしいと思っていた。


自分の学校の生徒が、事件にかかわった形跡があって、しかも突然いなくなったのに、誰ひとりその話題を口にしてはいなかった。それどころか、昨日のことはなかったことのように・・・。


普通なら、全校生徒が集まるこの場で、何らかのコメントがあってもよさそうなのに。


「そ・・・・その話、本当?!」


「わっ、紅葉、知らなかったの?」


思わず、美樹ちゃんに飛びついてしまった。私の目の前には、知らないとは思わなかったという美樹ちゃんの表情があった。