学園(吟)

「さあ、帰って宴会アル」

お酒が入った袋を持ちながら、俺の前を歩いている。

「本当にするのか?」

「嫌アルか」

表情は変わらない。

でも、吟ネエにだって、気持ちがある。

それを忘れてはいけない。

だから、何でも言えばいいって物じゃない。

「嫌じゃない」

ただ、本当に、今のままでしていいのかっていう不安がある。

でも、これ以上、吟ネエに我慢をさせ続けたくはない。

頭の中で葛藤が渦巻いている。

足を止めた吟ネエは俺を見ている。

「ごめん。帰ろうか」

心配させるような素振りは止め、促す。

「お前は本当に無駄に悩むアルな」

「でも、吟ネエのために時間を使ってるんだって思うと、悪くはないんだ」

「そうアルか」

俺が足を踏み出そうとすると、吟ネエが俺の手を握る。

「吟ネエ?」

「たまにはソフトな事も悪くないアル」

二人で歩いていく。

ゆっくりと時間をかけて。

ただ体の関係を持つだけでなく、今のような時間が好きだった。

いつも見てきた吟ネエ。

何故、吟ネエは多くの男と体の関係を持つようになったのか。

解らない。

何故だろう。

思考は停止させちゃならない。

でも、今は吟ネエの温もりを感じる一時に浸ろう。