学園(吟)

「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」

俺は吟ネエの正面に座る。

メニューの中には、メジャーな中華料理が並んでいるようだ。

「ええっと、どれにするかな」

「ビールアル」

「俺ら、制服着てるんだけど」

「ビールが飲めない中華飯店なんて、店とはいえないアル!」

何て恐ろしいことを言い出すのか。

しかも、店の人に聞こえたらしく、こちらを見ている。

「あ、あのさ、ビールなら後で買えばいいじゃないか。今は、コーラで我慢しようよ」

吟ネエのお金なので、あまり強くはいえない。

「アチシの喉の渇きをコーラで潤せと言うアルか?」

「だって、昼食がメインだろ?だったらって、どこを触ってるんだよ」

吟ネエの足が俺の股間を直撃しているようだ。

「鬱憤の発散をここでしなくても」

「アチシに我慢させる罰アル」

足捌きはお手の物とか考えている場合ではない。

「ぎ、吟ネエ、落ち着いてくれ」

「中々、我慢強い奴アル」

震える手で水を口に運んで、下半身の事は考えないでおく。

結構、無理があるんだがな。

「ご注文、お決まりになりましたか?」

救いの神である茶髪の店員さんが登場した。

「コーラ2つと」

いじられるのを耐えていたせいで、食べ物を全く決めていない。

「ギョーザとチャーハン、2人前アル」

器用に足の指先を動かしながら、注文を頼む。

茶髪店員をさっさと、向こうへ行かせるつもりだろうか。

っていうか、何でバレないんだ?

机の下といっても、遠くから見たらバレてしまうはずだ。