学園(吟)

吟ネエは一人歩いて、どこに向うのだろうか。

男子生徒を放り投げたって事は怒っているのかな?

感情はあるけど見えにくいからよくわからないな。

「吟ネエ、どこに行くんだよ?」

「精力増進の飯を食べに行くアル」

「学校がまだ終わってないじゃないか」

今は昼休みであり、早退するつもりなのだろうか。

「腹が減っては戦は出来ぬアルよ」

何と戦うつもりなのだろうか。

「お前も食いに行くアル」

「ちょっと待ってよ。昼飯なら学校でも食えるじゃないか」

「おー、お前はそんなにやりたいアルか」

「はあ?」

やりたいといえば、例のアレしかないだろう。

「お前の事を考慮したアルが、学校のほうが燃えるアルか。アチシも他人が大勢いる場所のほうがスリルを感じるアル」

「えっと、今から肌と肌のマッチングを行うつもりですか?」

「愛し合う二人がする事といえば、光速の摩擦行為アルよ」

いつもながらに大胆だ。

そういえば、俺の気持ちは伝えたけど吟ネエの気持ちを聞いてなかったな。

愛し合う二人というけれど、本心なんだろうか。

信じなきゃ駄目だと思う反面、どうにも怪しさを感じてしまう。

悪い癖だ。

でも、雰囲気だけで読み取れるほど出来た人間でもないし、吟ネエからの口から聞きたかった。

「吟ネエの事、地球と太陽の距離くらい好きだよ。気持ちだけで我慢出来ないのは確かなんだ。でも、吟ネエの気持ちを聞いちゃいない」

「んー?」

「本当のところどうなんだ?」

「そんなにはっきりした言葉が必要アルか?」

「正直なところ、言葉だけで嘘か本当か決めるのは難しいところだぜ。でも、俺は吟ネエの言葉を聞いて信じる。だから、今はどんな事よりも吟ネエの言葉が欲しい」

どんな答えが返ってくるにせよ、俺の気持ちは伝えたし覚悟は決めた。