学園(吟)

俺は吟ネエの後を追う。

周りの人間は吟ネエに話し掛けようとしない。

それもそうだ。

他人から見れば、特定の男を作らず、良い男を貪り食うという時点で良い印象はどこにもなく、知り合いになって自分の彼氏を弄ばれたらたまったものでもない。

吟ネエは恐ろしい存在であるから近づきたくないんだ。

仲良くしようと近づくのは上っ面だけだって事を、吟ネエは知っている。

陰湿ないじめを行おう者がいても、無意味だ。

まあ、一度だけ過去にあったんだ。

吟ネエの机が売女やらクソやら落書きされ、教科書が破かれていた。

黒板にも卑猥な言葉がびっしり書かれていたし、椅子には画鋲、上履きも隠されたりしていたな。

一気に不幸が降りかかってきたみたいだった。

誰もが知っている事だったが、犯人は彼氏を弄ばれた数人の女生徒だ。

性格が悪いのは吟ネエとタメを張っていたといってもいい。

それを見た吟ネエは無言で犯人の一人の襟首を持って、床に投げ捨てたんだ。

吟ネエは犯人の席に座ってふんぞり返り、やられた方は猛抗議だよな。

犯人という証拠がなくやったわけだから当然なんだけどな。

「今日からアチシの席はここアル」

それでも、吟ネエは耳を貸さなかった。

女生徒は激怒して手を上げようとしたところで、首をつかまれ宙に持ち上げられる。

喧嘩では豚箱の飯と満漢全席ぐらい差が開いている。

他の犯人達もすくみあがり野次飛ばしを止めた。

だが、教師が来たところで犯人達は教師に訴える。

しかし、自業自得だと言わんばかりに教師も耳を貸さない。

吟ネエとの肉体関係があれば、言えないし言わない。

教師の大体は、吟ネエの手中にあるといっても過言じゃなかった。

今思えば、問題だらけの学校だよね。

悔しい思いをしながら、犯人は自分でやった落書きを消すこととなった。

しかし、それだけでは終わらなかったんだ。