学園(吟)

「ふざけんな!離れろよ!」

怒りで我を忘れてしまったのか、俺に向けて拳を振るう。

HP1の俺では避ける事は叶わない。

しかし、顔面間近で拳と顔との間に手が入り込む。

受け止めたのは、隣にいる吟ネエだった。

「脇が甘いアルな」

「何で庇うんっすか?無理矢理キスされたんでしょ!?」

「残念アルな。お前より、上手かったアル」

男子生徒は石のように固まってしまった。

「何言ってるんっすか?俺の彼女なのに何でソイツの方が上手いとか言うんっすか!」

「つまらん奴アルな」

嫌な気分を晴らそうとするためなのか、酒を飲み始めた。

「え?」

「ま、アチシは強い男が好きアル」

「俺は強いっすよ。いつ何時でも外敵から吟先輩を守れるっす」

「じゃ、アチシの拳も受けられるアルな」

「何で先輩から殴られなきゃならないんっすか?」

「残念アル、お前との遺伝子を残したいとは思わなくなったアル」

吟ネエは一人で階下へと降りて行く。

「待ってくださいよ!やりますよ!」

「ほう、じゃあ、三発やって、立ってればお前の言うとおりにしてやるアル」

「3発?余裕っすよ!」

こいつ、吟ネエのことを何も知らないのか?

余裕を出して腹を突き出している。

「いつでもいいっすよ」

「ほれ」

シャツを下に引っ張っておもいっきし胸元を見せる。

俺の時にやったセコ技を、ここに来て使うとは。

しかし、効果は抜群だったらしく、覗いた隙をついてボディーブローが腹に突き刺さる。

「お、おええ」

ドレッシングのかかってないサラダくらいあっさり感丸出しで、膝をついてしまった。