学園(吟)

「俺は、もっと元気の出る治療法を知ってる」

「んー?」

不意打ち同然だったかもしれない。

正面にある吟ネエの唇に口付けをかわす。

顔が近くにあったおかげで、向こうも避けそびれたのかもしれない。

いや、避ける素振りは見せなかった。

軽く済まそうと思っていたんだけど、吟ネエの逆襲が始まった。

逆襲といっても、おもいっきし舌を突っ込んできただけなんだけど。

でも、吟ネエも血を味わう事になるんだけど、関係ないらしい。

いや、いつも吟ネエにやられているから、やり返してみるか。

百戦錬磨の吟ネエを骨抜きにできるとは思っちゃいないが、たまにはいいだろう。

舌と舌との攻防戦。

絡み合う舌、どちらが快楽への世界へと押し込むことが出来るのか。

何かおかしいんだけど、二人の間の燃え盛る炎の前では多少の疑問などとるに足らない。

歯茎から舌の裏など責めてみるものの、向こうの舌捌きに休まる様子はない。

的確に、脳みそが蕩けそうなピンポイントをついてくる。

そう、快楽のビッグウェーブが脳に連続で押し寄せてくる。

血の味が口全体に広がるが、気にしてられない。

やはり場数が違うというのか。

くそ、あまりに舌を使いすぎて、口内の筋肉が痛いぞ。

何分経ったのかは解らないが、体の力が抜けているのが解った。

「んー」

ゆっくりと口を離すと、お互いの口から糸を引いた。

向こうは歴戦の勇者だったらしく、余裕を見せているようだ。

唇を舌なめずりしているが、スイッチが入ってしまったのだろうか。

「おい!何してんだよ!」

大声で叫んでいるのは、分かれた男子生徒だった。

下の階から登ってきながら、憤怒に駆られているみたいである。

見られる場所だったから、見つかるのも仕方のないことだ。