学園(吟)

「ふふん、本当に面白い事を言うアルな」

楽しそうな笑みを浮かべる吟ネエは、可愛く思える。

「吟ネエもすっきりしたいだろ?中途半端な余りを残すよりはさ」

「赤玉が出るくらいスッカラカンがいいアル」

指を鳴らしているところ、やる気は十分らしい。

変に断られるよりは、躊躇いなくやってもらいたい。

吟ネエが酒瓶を置いて、ステップを踏む。

「殴られたいところを言えアル」

「ありがとさん。じゃあ、最初は腹で頼むよ」

「肩とは言わないアルな」

「中途半端はもう止めた」

俺は腹に気合を入れて、股を大きく広げて待ち構える。

吟ネエは睨むような目つきになり、周りの空気が重くなる。

「行くアル」

足を大きく踏み出し、ボディーに大きな一発がめり込んだ。

「おげ、が」

後一発だと思えば、痛くても我慢も出来る。

「ほう、三発耐え切った男は、一発くらいじゃ倒れないアルか」

「へ、一発じゃ気合なんか入らねえよ」

「生意気な奴アル」

怒っているわけではなく、楽しそうだ。

「次は顔面だ」

腹の痛みは引きずっているが、乗り越えなければ本当の終わりはこない。

「ほほう、粋な場所を選ぶアルな」

「おいしい場所は最後に食べたいだろ?」

「顔が歪んでも知らないアルよ」

「吟ネエに嫌われるかもしれないな」

余裕をかましている場合ではないのは知っている。

でも、小さい目標に何の意味がある。

目標は大きく、高く、誰にも届かないほどの物がいい。