学園(吟)

「付き合うなんて言わないでくれよ!」

なりふり構っておらず、格好悪さが引き立っていた。

でも、関係なく言い続ける。

「吟ネエが誰と体の関係を持とうとも文句は言わない。だけど、気持ちまでは遠くに行かないでくれ!」

離したくないせいか、強く抱きしめる。

自分の言ってる事が、どれほど我が侭かは解っていた。

「ごめん、何か一方的に言ったみたいで」

俺は、柔らかい体から引き離した。

「久々に骨がきしんだアルな」

相撲の鯖折並に強くしてしまったのか。

「吟ネエが誰かと付き合うなんて今までなかったから、動転しちまってさ」

「ほう」

「4時間目に一年の野郎とやったって、それで付き合うことになったって、聞いた時に、何も解らなくなったんだ」

「ああ、そういえば確かに言ったアル」

「やっぱりか」

30キロの岩を体に乗せられたみたいで、どんどん沈んでいく。

二度と手の内に入らないんだろうな。

「アチシが誰かと付き合うことは、悪い事アルか?」

「悪くない。吟ネエが幸せなら嬉しい?いや、違う」

「んー?」

「好きな女が、他の誰かと付き合うなんて嬉しくなんかねえよ!吟ネエは、傍にいて欲しいよ!」

一歩引いて見守るほど心は強くない。

「ふっふっふ、お前にも男としての本能があったアルか」

「何?」

吟ネエは、俺の真剣さを払いのけるような笑い顔を浮かべている。

「アチシが小僧との酒呑みに付き合う事が悪いとは思わなかったアル」

「へ?」

今、何て言った?

「ちょっと待ってくれ。今、酒呑みに付き合うとか言わなかった?」

「お前には耳掻きをしなければならないアルな」

顔を近づけたかと思えば、耳たぶをアマガミする。