学園(吟)

いや、永遠ではないかもしれない。

他の誰かと結婚して、生活して死んでいく。

もしかすると、生涯孤独かもしれないけどな。

だが、今は他の誰かの事なんて考えられない。

目の前の一人の女性のことしか見えていない。

今までに、今以上に吟ネエを気が狂うくらい強く思う事があったか?

「う、く」

情けない。

感情に対応しきれなくなり、涙が溢れてくる。

俺は、気持ちを我慢しなくちゃならないのか?

他の誰かと付き合うから、二度と好きだと言ってはならないのか?

嫌だ。

俺は吟ネエが好きなんだ。

誰かが止めろと言っても、胸の奥の気持ちは止まらないんだ。

「好きと言うのは、我が侭なんだろうか?」

「ブサイクな面アルな」

吟ネエは背を起こし、隣にあった酒瓶に手を伸ばす。

「吟ネエは、いつも寝たふりなんだな」

酒瓶の飲み口に口をつけると、生命の源を喉奥に流し込む。

「ぷはあ、アチシはハーレムの夢を見て寝てたアル」

吟ネエの感覚は鋭敏なのか。

俺は安心出来るような人間だと、判断されてはいないらしい。

「いつも、起こしてごめん、な」

胸が苦しい。

普通に接するだけなのに、胸が締め付けられる。

だから、限界を突破して爆発しちまった。

我慢できずに吟ネエに抱きついたんだ。

「おー、中々豪腕アルな」

いつもの柔らかさが腕の中にある。

状況的にはいつもとは逆だといっていい。

今、自分でも終わったと思った。

次に会うときからは相手にされなくなるんだ。

だったら、今、思いをぶつけてもいいんじゃないだろうか?

そうだよな。

胸の奥に留める必要なんかねえよ。