学園(吟)

三階から二階へ降りたところで、見覚えのある男子生徒を見かける。

とても気分良く歩いているが、何があったのか。

予想は、ついているな。

しかし、話を聞かないことには、空白の時間に何があったのか解らない。

俺が男子生徒に近づいていくと、男子生徒も気付いて近づいてくる。

「葉桜先輩!俺!やりましたよ!」

「あ、ああ、何を?」

「吟先輩と付き合うことになりましたよ!」

「はあ?」

男子生徒はいきなり信じられない台詞を口にした。

一瞬、衝撃を与えられ、理解がストップしてしまう。

「いや、だから、俺が吟先輩と付き合うんですよ」

「そうか」

だが、段々と冷静になっていく。

動転したところで、物事は悪い方向に行くばかりだ。

多分、手紙には四時間目に場所を指定し、来るように書かれてあったのだろう。

もう少し、話を聞かなければならないな。

「えーっと、お前は四時間目の授業をサボって、吟ネエと何をしていたんだ?」

「何をって、ナニですよ、ナニ」

やはりか。

吟ネエの溜まりに溜まった性欲を解放させるならば、男子生徒はもってこいだろう。

もし、男子生徒のいう事が事実だとすれば?

今まで付き合うという概念がなかった、吟ネエがいきなり付き合うのか?

吟ネエも人間なんだし、ないとは言い切れないよな。

「吟ネエはお前とやって、付き合うと言ったのか?」

「言いました!ちゃんと、耳に台詞が焼き付いてますよ!」

段々、腸が煮えくり返ってきたぞ。

目の前の男子生徒の態度もそうだが、何もしてこなかった自分にも腹が立つ。

「吟ネエに確かめてもいいか?」

「信用しないんですか?まあ、絶対ですからいいですけどね」

今、絶対という言葉を使われると、男子生徒の顔面を拳で強打したくなる。