学園(吟)

男子生徒は帰り、授業が始まった。

正直、うんたらかんたら、周りから言われるのもウンザリなのだ。

でも、真面目に受けても、何故か、教師は俺を叱るんだよな。

言っておくが、被害妄想でもなんでもないぞ。

今だって、ちょっと離れた席の奴ら二人が会話しているとしよう。

「そろそろだな」

「何がそろそろなんだ?」

「先生様がこっちに来るのがそろそろなんじゃね?ってことです」

「余裕だな。私が読んでいた後の文章を読んでみろ」

男性教師は威圧感のある目線で俺を睨みつけてくる。

殺意に満ちた目線って、本当に英語教師かよ?

しかし、全くといっていいほどに男を眺める趣味はないんだけどな。

さて、どこを読んでいたんだろうな?

「さっさと読め」

「えっと」

開いた教科書のページが当てにならないのはしっている。

前のように乾が助けてくれるのかと思いきや、教師の後ろで飯を食っている。

明らかに俺よりも悪じゃないか。

もしかすると、バレない方法で食べているとか?

こんな近くで食べられる程、教師の目が節穴とは思えない。

「どうした?」

「Very hard dream」

「夢がモリモリだと?お前、ふざけているのか?」

余計な事を言って、逆鱗に触れてしまいそうだ。

正直な事を言った方が身のためかもしれない。

「実は、何ていうか、夢想してました」

「正直に話したら許されるとでも思っているのか?」

「そんなことないっす」

「次に集中していなかったら、永遠に夢を見させてやる」

うわ、本気の眼差しじゃねえか。

「この場で言っておくが、お前らが逆恨みをして上にチクって職をなくそうがなくすまいが関係ねえ。私は金を貰って授業をしてんだ。注意しても聞かずに寝てたり話したりしてる奴がいれば躾をする、当たり前の話だ。将来、英語をどう使おうが知ったこっちゃねえが、払ってる金を無駄金にするようなボケは私が許さねえからな」