学園(吟)

AVに出演した目的は、お金が欲しいというよりは、性欲を満たすためだろう。

俺一人では抑えきれないほどの膨大な性欲を吟ネエは抱えているからだ。

それが吟ネエのあるべき姿だから、認めるしかない。

夫婦になる前から理解していた事だ。

不幸とは感じない。

だから、他人にとやかく言われる事でもない。

「結婚前にしばらくはしないと言っていたが、子供を産んでからさらに激しくなったのかもしれないな」

そう言いながらも、一日を過ごす。

仕事終わりに、同僚と飲みに行く。

同僚も結婚しており、夫婦仲は悪くない。

ただ、同僚は仕事中でいない間の妻の事を心配しているようである。

浮気は大丈夫なのかとか、色々と。

話は聞くだけ聞いておき、下手にアドバイスするのは避けておいた。

結婚とは付き合いとは違う。

一つ一つのアドバイスが重要になってくるわけだ。

最終的に決めるのは、本人だけどな。

世の中には知らないほうがいい事もある。

俺と同僚は違うタイプだ。

知ればショックを受ける事もあるだろう。

浮気が確定しているわけではないけどな。

飲みの帰りに、ケーキでも買っていく。

誰の誕生日でもないが、吟ネエの主婦の仕事を労わる意味も込めて買っておいたものだ。

「ただいま」

「おかえり」

幼少の夕乃が俺の帰りを出迎えてくれる。

「今日も元気にしてたか?」

「うん」

笑顔で答えてくれるところが、素敵すぎて眩しい。