学園(吟)

AV出演を浮気ととるかどうか。

まあ、浮気であるにしろ、俺は吟ネエの事を離したくはない。

俺が許しているのだから、何も問題はないという事である。

暗闇にさらされた帰り道。

「お前はそれでいいアルか?」

吟ネエは足を止めた。

「いい」

「個人で付き合いしてる男がいるとすればどうするアル?」

大胆すぎるような事を言い始めた。

吟ネエには時々あるんだよな。

「俺としては、困るかな。だって、最終的に離れる可能性があるってわけだろ。でも、それは今の俺のどこかに不満を感じているというわけだ?」

「アチシが悪いという概念はないアルか」

「確かに、吟ネエのやっている事は悪。何故なら、俺は家族を養うためにお金を稼いでいるわけだ。それなのに、吟ネエには俺に対しての気持ちは冷めていて、他の男と寝ている」

もし、子供が出来たとして、それは自分の子供じゃないわけだ。

自分の子供でもないのに、働く意味があるのかという疑問まで現れてくる。

「でもさ、吟ネエは傍にいる。それは取り戻せるかもしれないチャンスが微かながらにもあるって事だろ。まあ、冷め切っていて、俺を利用してるだけなら不可能に近かったりするけどさ」

余裕ぶってはいるけど、内心は焦りに焦っている。

「でも、そうだったとしても、俺は吟ネエを本当に愛してる。これからも、傍にいて欲しいんだ」

結婚とは安定だ。

いかにして安定させるかというのも課題になってくるわけだ。

夕乃だっているんだから、安定させ続ける事が必要になってくるわけで。

吟ネエは黙る。

しばらくして、携帯電話を俺に投げた。

「ちょっと、これは」

「中を見るアル」

しかし、俺は見る気もなかった。

見る方も見られる方もあまりいい気はしない。

「中に男の名前があってもなくても、俺の気持ちは変わらない。吟ネエはどうなの?」

「んー、そうアルな。今のお前がどれだけ信じるかは解らないアルが、好きアルよ」

「その言葉だけでいいよ」