学園(吟)

数年が経った。

簡単に書いているが、多少の事は省いても問題はない。

だって、変わりのない毎日だったからな。

そりゃ吟ネエの誕生日を祝ったり、夕乃が言葉を話したりする事もあったがな。

ずっと続けてたら、延々と続く事になっちまう。

会社で働いていればストレスを溜まる事だってあるし、吟ネエに愚痴ったりする事もある。

お互いに言いたい事は言うようにしている。

それで喧嘩になるという事もない。

ほとんどの事で、最終的に折れるのは俺だからな。

しかし、譲れない事もあるのは確かである。

そういう場合は、向こうがいう事を聞いてくれている。

普段は俺が折れるという事を分かってくれているからだろう。

ある日。

会社から帰ってきたところで、貯金はどうなっているのか気になった。

家の事は吟ネエの任せているものの、状況は知っておいて損はないと思った。

貯金通帳の場所は知っている。

探して覗いてみると、三つあった。

娘の夕乃のために積み立ててあるお金。

家庭のためのお金。

吟ネエ自身のお金。

気になったので全て確認してみる。

最後の吟ネエ自身のお金は半端のない金額が入っていた。

「何だ、こりゃあ」

一体、どこで稼いできたのだろうか。

何となく、いやな予感がする。

いや、ないという事もない。

吟ネエだぞ?

俺がいない間は吟ネエは家事する以外では自由な時間なのだ。

吟ネエに聞けば答えてくれるだろうが、聞きにくい。

少し、周辺を探ってみることにした。