学園(吟)

「でも、俺は、何かが変わったなんて、解らないよ」

「そんなのはどうでもいい事アル」

「はあ?」

「アチシのスキルアップのためにお前を渚に使わしたアルよ」

「スキルアップだって?」

「渚はスペシャリストアル。でも、渚とやった男の意見なんて聞いたことがないアル。だから、お前を使わせたアル」

「い、いやいやいや、俺のレベルアップのためじゃないのか?」

「渚と一回だけやったくらいでレベルアップが出来るとでも思ってるアルか?」

「それは、実感してるけれども」

俺の抱いた後悔は、無駄だったのか。

吟ネエはいいとしても、耕一さんに対してだけは感じてしまうよな。

「他には何かなかったアルか?」

「え、ええっと、香水とか、ムードとか、そんな感じ」

「技術面での事アル」

「一回で違いを見抜くのも難しくないか?」

「そこを見抜くのがジゴロというものアル」

「吟ネエだけでいいって何度も言ってるじゃないか」

「ううむ、頑固な奴アル」

俺の反応が間違っているのか。

本当なら、俺は萎縮するべきところなんだろうけど、馬鹿らしくなってくる。

「はあ、吟ネエ」

俺は吟ネエの感触を確かめるべく抱きしめる。

「やっぱり、いつもの感触が一番だ」

渚さんも柔らかくていいけれど、吟ネエの体つきが一番好きだった。

「俺は吟ネエとずっとにいたい。他のところに行くなんていうのも、考えにくいよ」

「お前は、技術の乏しいアチシのほうがいいというアルか?」

「技術云々じゃないよ。俺は吟ネエだから好きなんだ。吟ネエの心も体も、全てが俺にとっては魅力的なんだよ」

いつだって、変わらないままでいてくれたのは吟ネエだ。

何事に対しても変わる事のない吟ネエが好きなんだよな。