学園(吟)

「渚さん、俺は」

「分かってます。吟さんに修行でもして来いといわれたのでしょう?」

何で、そんな具体的なことまで知っているのか。

やはり、盗聴器が。

いや、渚さんは機械には疎そうなので、付ける事は出来ないとは思う。

「でも、渚さんも妊娠してるし、そんな無茶な事」

「大丈夫です」

頭を両手で包み込み、胸へと当てる。

吟ネエと似たような匂いではあるが、少し違う。

表現はしにくい。

「あの、でも、耕一さんに」

「今は、私だけの事を考えて下さい」

後々、後悔の念に潰されるのは、俺なんだけどな。

同じ血統か。

今でもグダグダ言っているのに、これ以上言うのはムードを壊しているようなもんだ。

ここは素直に指南してもらおう。

本当は有り得ない事なんだけど、後戻りも出来ない。

大きく息を吸うと、渚さんの色香にトリップしてしまいそうだ。

顔を見ると、いつもと同じ人が目の前にいるのに、違う人のように見える。

魔性を身に宿したかのような雰囲気を持っている。

「ふふ、丞さん」

「はい」

「ただ、二人で行為をするというのなら、私でなくてもいい。そうですね?」

「は、はあ」

「あなたは、吟さんを満足させたいんですよね?」

「は、はい」

目が光って見えるのは気のせいか。

「だとしたら、基礎の基礎からあなたに覚えてもらいます」

何だか本格的だ。

「最後は、私の頭を真っ白にさせれば、合格です」

要はテクニックで脳髄まで響き渡らせなければならないという事だ。