学園(吟)

「じゃ、お酒はここに置いておきますね」

渚さんは部屋から出て行ってしまった。

今度は冗談だとは言わない。

まさか、本気なのか。

確かに、耕一さんは帰ってきてないし、欲求がたまるのは分かる。

しかし、娘の彼氏だぞ?

そんな簡単に、手を付けようなんて。

俺は吟ネエを見る。

「思うのも、不思議はないわな」

原型は渚さんにある。

「うむ、渚め、アチシの男に色仕掛けをするとは、抜け目のない奴アル」

後ろには亀甲縛りの抜けた吟ネエが酒に手を付けている。

「吟ネエ」

「何アルか?」

「簡単に外れるんじゃないか」

「誰も外れないなんて一言も言ってないアル」

まさか、俺が吟ネエの部屋に訪れることを見越した行動だったのか。

「はあ」

「お前、渚とイチャイチャタイムでも起こすアルか?」

「まさか、俺、吟ネエの体にしか」

「ふっふっふ、甘い、甘ちゃんあるよ」

「はあ?」

吟ネエが含み笑いをしている時は、嫌な予感しかしない。

「お前のテクニックはまだまだアル!」

「え、ええ!?本人の前で発表するのかよ!」

「確かに、お前の煮えたぎる大黒柱には魅力と夢が詰まってるアル。しかし、その他はまだまだ点数を上げられないアル!」

「ええ、じゃあ、どうすれば」

「渚に指導してもらえアル」

「吟ネエが指導してくれるんじゃないのかよ」

「教えるのが面倒アル」