学園(吟)

しばらくして、俺の腕が疲れてきた。

そこで帰ってきたのは、渚さんだ。

二階へと上がってくる。

「不味い」

このままでは新たな趣味に走っていると思われてもおかしくない。

部屋のどこを探してもナイフもはさみもない。

学校なら、ハサミくらいは使うだろうに。

しかし、タイムオーバー。

渚さんが扉を開ける。

「あの、丞さん」

「渚さん、これは、その、そう新しいダイエット方法なんだ」

苦し紛れな嘘。

「あら、妊婦がダイエットを気にするのでしょうか?」

完全に見抜かれてるじゃないか。

「丞さん、とてもうらやま、じゃなくて、必要以上に吟さんの体を痛めては駄目ですよ」

「はあ」

今、目が一瞬光ったのは気のせいだろう。

「それで」

「ええ、ちゃんと買っておきましたよ」

手にはお酒の袋が入っていた。

「渚さん、ありがとうございます!」

俺は渚さんに土下座する。

「あら、いいんですよ」

「ええ」

しかし、渚さんは俺の耳元で囁く。

「後で、私にもお願いします」

色々なファクターのせいか、渚さんにも影響が出てきてしまったのだろうか。