学園(吟)

しかし、妊娠初期にストレスを溜めるのはよくないという話を聞いた。

お酒とストレス、どちらが影響が出るのだろうか。

いや、でも、吟ネエの哀しみの顔を見た後では、何かしてやらないわけにはいかない。

「頼む、渚さん!どうか!この通りだ!」

俺は渚さんを前に土下座をする。

「丞さん」

「吟ネエの、悲しむ顔なんて見たくないんだ!だから、お酒を、買ってくれ!」

しばらく、頭を下げ続ける。

「しょうがないですね」

「渚さん」

「解りました。でも、一気に飲むのは禁止ですよ?」

「あ、ありがとうございます!」

勢い余って俺は渚さんの手を掴む。

「って、すいません。渚さんも、妊娠してるんですよね」

「ええ、そうですよ」

じゃあ、今の行動がストレスになっているのかもしれない。

悪い事、してるよな。

「渚さん、俺、渚さんのいう事なら何でも聞く」

「あら、本当?」

「もちろん」

「じゃあ、私の相手をしてもらいましょうか」

「え?」

微笑みの中にある妖艶な瞳で、俺の心は揺れる。

何だ。

断れないかのような雰囲気が、辺りを包んでいる。

「ふふ、冗談ですよ」

「は、はあ」

「丞さんには、吟さんを幸せにしてもらうという事だけで、私は十分です」