学園(吟)

吟ネエが龍先輩や笹原先輩と遊びに行く以外は、ずっと同じ感じである。

過激な事が出来ないので、のんびりする毎日が続いているわけだ。

俺としては今のような生活のほうがいいんだがな。

「おら、葉桜!!やっと見つけたぞ」

茶髪の男が現れる。

「吟ネエ、何かやったの?」

「覚えてないアルなあ」

数多くの問題を起こしてきた吟ネエにとって、些細な事など眼に入らないらしい。

「ええわい。今からお前連れて、ダチと一緒にまわしたるわ」

さすがに、簡単に連れて行かせるわけにはいかない。

俺は吟ネエの前に立つ。

「そんな事、俺がさせるわけがないだろ」

「お前からどつき回したる!」

威勢良く突っ込んでくる。

例え吟ネエが強くても、動けたとしても、俺が吟ネエを守らなくちゃ駄目だ。

頼りがいがあるだとか、そんな事じゃない。

自分の女を守る事は、男としての勤めだ。

しかし、背後から現れた男によって、襟首を掴まれ殴り飛ばされた。

「人は常に弱き者を挫こうとする」

そして、隣に歩いていたのは梓さんである。

「あかんで。そんなところで騒いでたら。近所迷惑やんか」

茶髪の男が何者かよりも、梓さんの隣に歩いている男性に注目がいく。

「六老さん、助かりましたよ」

「どうという事はない。妊婦に襲い掛かるとは、不逞な輩だ」

彼は鋼六老といい、梓さんと仲がいい。

彼氏かとも思ったが、そこまでは発展していないらしい。