学園(吟)

四時限までの授業が終了し、昼休みに突入する。

「吟ネエ、どうしてるかな」

屋上にいる可能性は高いかもしれない。

廊下に出ると、女教師と歩いている吟ネエを見つけた。

向ったのは校舎裏の方向。

怪しげな雰囲気はないにしろ、なにやら教師の顔が険しい。

俺はこっそりと二人の後を追っていく。

二人が対峙しており、教師が取り出したのは何かの紙である。

「葉桜さん、この進路はどうかと思う」

進路調査の紙らしい。

「それ以外に考えられないアル」

「自分の人生なんだから、真剣に考えないと駄目よ」

一体、なんて書いたのだろう?

主婦とでも書いたのか?

いや、そんな事で校舎裏に呼び出されるはずがない。

「病気にかかるかもしれない。子供の産めない体になるかもしれない。誰かの子供を体に宿すかもしれない。それだけ、危険な職業なのよ」

嫌な予感が脳裏を駆け巡る。

「それで、子供を養うアル」

普通の職じゃないんだろうなあ。

何となく想像はつくんだけれど。

「まさか、あなた、妊娠してるの?」

「そうアル」

「あなたの年齢ならまだ時間があるのに、何を考えているの?」

「別に問題ないアル」

「問題ありありよ!父親は誰なの?」

「秘密アル」

「これは、親御さんに相談すべきね」

「渚は知ってるアル」