学園(吟)

体温計のような形ではあるものの、少し違う。

丸い囲みの中には、赤紫のラインが入っている。

「これは、何?」

「お前とアチシの愛の結晶を調べる物アルよ」

これが噂の妊娠検査薬か。

「アチシの尿付きアル」

「素直に喜べない情報だな。それで、これは、何を示しているの?」

「陽性アルな」

「それって、妊娠したって事?」

「うむ、医者にも行ってきたアル」

「確実じゃないか」

実感がわかない。

「じゃあ、ツワリとかもあるのか」

通りで、吟ネエの気だるさが増しているはずだ。

「もしかして、赤城にこれを見せたのか?」

「そうアルな」

これを見せて誘ってくるのなら、厄介な輩ではある。

「それで、赤城はなんて?」

「無言で去っていったアル」

都合よく現れたところで、吟ネエには通用しなかったという事か。

しかし、本当に変わったな。

前までは、複数の男と関わっていたのにな。

もしかすると、影で他の男と交わっていた可能性もすてきれないけどな。

本当に、自分の子供かという疑問も湧いてしまう。

「その顔は、疑ってるのか?」

「え、あ、いや」

いきなりだったので、詰まってしまった。

最悪だ。

「しょうのない奴だ。DNA検査も受けさせてやる」

別段、変わる事なく、そう告げた。