「隠れてれば良いんだよ。」

春川隆行は尾佐田の答えに腹が立ち、願いも込めてこんな事を言ってみた。


「さっきから警察なんか1人も来ないぞ!指名手配何てされてないんだろ!」


「そう思うならその辺りで、寝てろ。」


ガチャッ…プープー…


尾佐田は急に電話を切りやがった。


その時、また嫌な音が聞こえてきた。


ウ〜ウ〜ウ〜


パトカーがこちらに近付いて来た。


春川隆行は走って逃げた。


そして走りながら考えた。

尾佐田が警察にオレの居場所を教えたのか…?


尾佐田はオレの近くの公衆電話にかけてきた。


と言うことは、尾佐田はオレの居場所が分かっているのか…?


どうやって…?


そんな事を考えながら走っていると、今日も深夜5時まで飲んでいた行きつけの居酒屋「はるを」に到着してしまった。


春川隆行は本当に指名手配をされているのか確かめたくて「はるを」に入った。


その時の時間 20時43分


ガラガラガラ…


「いらっしゃい。…あっ、春川くん!また来てくれたの!」


客は1人もいなかった。


そしてそこに居るのはいつもの大将だった。