春川隆行は目をこすり、もう1度玄関の方を見た。


そこに立っていた人はゆっくりと近付いてきた。


春川隆行はこのままでは、やばいと思い


「何だ!誰だ!」


と叫んだ。


だが、そいつは止まる事なく春川隆行の目の前まで近付いた。


目の前で見ると、そいつが男である事が分かった。


そいつは細身だが身長180cm近くあり、春川隆行は少しびびってしまった。


「お前は春川隆行だな!」


そいつは、自分の口ひげを右腕で触りながら春川隆行に言った。


「そうだよ。オレは春川隆行だよ!」


春川隆行はびびっている事をバレないように、強い口調で言った。


するとそいつは、またも自分の口ひげを右腕で触りながら、しゃべりだした。


「春川隆行。お前は1時間後の今日の8時に指名手配される!」


春川隆行はワケが分からず10秒程黙りこんだ後、我にかえりそいつに聞いた。


「何でオレが指名手配されないといけないんだよ!」

春川隆行は27才にもなってフリーターで親不孝ものだが、法に触れた事は1度もない。


そいつはポケットから紙を出し、春川隆行に見せながらしゃべりだした。