20XX年 7月22日 19時12分
春川隆行は今、使われていないビルの屋上で身を隠している…
このビルは10階ぐらいあり、もともとはタレント事務所だったらしいがすぐに潰れ、今は廃墟になっている。
「くそ…何でオレが隠れなきゃ、ならねんだ…」
春川隆行は思わずそう呟いてしまった。
オレが身を隠すきっかけになったのは、今日の事だ。
春川隆行。27才。フリーター。
T町で一人暮らしをしており、この日も深夜2時まで働き、行きつけの居酒屋「はるを」で深夜5時まで1人で飲んでいた。
そして深夜5時30分には2階建てのボロアパートに春川隆行は到着した。
6時前には布団に入り、愛用の動物の声目覚まし時計をセットし、春川隆行は眠りについた。
ガチャ…バタン!
春川隆行は玄関の開け閉めする音と、生暖かい風で目が覚めた。
春川隆行は寝起きのボーッとする頭で考えた。
(玄関の鍵はちゃんと閉めたよな…誰だ…)
春川隆行は起き上がり、玄関の方を見た。
そこには暗くてよくは見えないが、人が立っているのが確認できた。