「おはよーございます…」

裏口から店に入ると

 「あれ?
 誰もいないのかな…?」

そこは薄暗いと言うより、
真っ暗だった。



ちょっと不気味かも……

なんて考えながら、電気の
スイッチに手を伸ばしたとき


 「よっ!」

 「きゃぁぁあああ!!」

突然あたしの肩に置かれた
手。

柄にもなく悲鳴をあげて
しまう。


バクバクの心臓を抑えながら
振り向くと

 「わりーわりー
 まさかそんなに驚くとは
 思わなかった」

と笑う栗色ヘアの男の人。


 「いやー、
 それにしてもケッサクな悲鳴
 だったな。
 夏輝って絶対波瑠奈さんより
 女の子っぽいわ」

あ、これ波瑠奈さんには秘密
ね、と言う。


あたしは内心ビクビク。

普段だってキャー!なんて
悲鳴あげたりしないのに何故
こんなときだけ………



あわあわと頭を抱える
あたしを見て、ハハハと笑う
栗色ヘアさん。

 「夏輝ってさー」

オレンジ色に明るくなった
廊下を歩きながら、栗色ヘア
さんが言う。


 「はい、あ、えっと……」

よく考えたらあたし、
この人の名前知らないなあ

そう思っていると

 「あー俺、響哉って言い
 マス。
 本名は違うよ、本名は宏史。
 ださいだろ」

だから響哉って呼んでよ、と
笑う。


 「一応No.5、なかなか
 やるだろ」

 「そうですね」

あたしがそう答えたとき、
響哉さんがふいに足を止めた。


 「……?どうしたんですか
 響哉さん?」

 「夏輝………」

振り向いたそのときだった。


ドンッ

響哉さんはあたしを壁に
つけた。