思い悩む慧太さんを尻目に、
あたしは、白地にオレンジの
プリントのある、少し大きめ
なTシャツに、紫色の
スキニージーンズという私服
を着る。


しまったなあ……
明日からもっと男っぽい
服着てこないと。

なんて思いつつ、
着替えを終え外にでると

 「おぉ、無事だったのか!」

目の前に立っていたのは
ホストのみなさん。

あたしを、まるで紛争地帯
から無事帰還した人のように
見つめ、

 「慧太さんに、何もされ
 なかったか?」

 「大丈夫なのか??」

 「無事で良かったなあ…」

なんて、ざわざわと盛り
上がるホストたち。


……どうやら慧太さんがゲイ
ってことは、周知の事実
らしい。


 「慧太さんって、まじで
 タイプの奴だったら何するか
 わかんないですもんね」

ま、まさかそこまでとは……

今さらながら慧太さん、
恐るべし!


 「それにしても夏輝なんて
 慧太さんのタイプど真ん中
 っぽいのになあ~」

 「マジで運良いスよね」

 「なんで無事なのか不思議
 なくらいだよ」

そう言って笑うホストの
みなさんに、あたしもハハ、
と苦笑う。


まあ、あたしは女の子だ
ってバレたから無事だった
わけだけど………

まあ、そんなこと口が裂け
ても言えないけど………



 「「とりあえず良かった!」」

盛り上がるホストたちに、
中性的(女性的とは言えない)
なあたしの私服は全く見えて
いないみたいで。


スカートとかレースとかが
なかったら、別に気にしな
くてもいいかもなあ

なんてふいに思った。