私は横に置いてる
白い携帯を顔をうずめたまま
ちらっと見つめた。



この携帯も中学になって
買ったけれど
アドレスは家族しか入ってない。



つまりあんまり
意味はないってこと。



小学校の時は
友達もけっこう居て、
携帯買ったら
アドレス交換しようね!
なんて言ってたけど
こっちへ引っ越してからは
全く音沙汰なし。



結局そこまで
深い仲じゃなかったって事。



親友なんて呼べる友達は
全然いなかった。



小学校卒業と同時に
こっちに引っ越してきて
新たな生活への期待で
いっぱいだったけど
現実は見ての通り。



悲しいものだ。



友達…ほしいなぁ。



親友て呼べるような友達が。



そうだ!
いっそのこと
イメチェンするか!!



いや無理無理。



みんなひいてしまうだけだ!



もう高校まで
待つしかないのかな…



意外と長い道のりね!!



しかし私は耐えてきた!



そう、二年と四十一日!!



もう少しよ、千夏ぅ!!



「千夏、拳握りしめて上向いて
演歌歌手にでもなるの?」



後ろでお母さんが
心配そうにこちらを見る。



私は拳をいつの間にか
上に突き上げてたことに
気づいてサッと振り下ろした。



私って感情を動作で
表すタイプだからなぁ…



気をつけないと!



「で、お母さん、どうしたの?」