「愛の形ってさ いろいろあっていいんだぜ。 何もSEXして いつもそばいる 夫婦のような 愛情だけが愛じゃないだろ?恋愛して 結婚してが 俺にとっては 愛の集大成じゃない。おまえと俺はどうも そういう関係らしい。それがいいのか 悪いのかは 時間をかけて 俺自身が解決しないといけない問題みたいだけどな。」

「ごめんね。ヨシキ」

「浅香にとって いつも そばにいたい と思った愛情の対象が 大出 旬だったんだろ? 移植後も 奴一人じゃ とても 越えるのが辛い峠があるんだろ?一緒に ついてやって超えてやれよ。奴がスクリーンに笑顔で帰れる様にさ・・・・」

ヨシキの何気ない一言に私は目が覚めたような気がした。

【そうだ・・・・大出 旬は 俳優なんだ・・・・私一人が 愛情を独占できる対象ではないんだよね。そうだよ・・・・彼が・・・あいつが スクリーンに笑顔で戻れるまでの期間限定の愛情なのかもしれない・・・・それも ヨシキが言うように神様が私に対して定めた愛情なのかもしれない。・・・】

そんな思いにとらわれて、私は ヨシキが深いため息と共に 私に見えないように

流した心の涙を感じ取るすべも無かった。

【浅香・・・・俺は 平気だよ。おまえが 明るく笑っている顔を見て 満足できるし
 おまえが 俺以外の男を選んだとしても、 それが おまえにとって幸せなら
 それで満足できるさ・・・それが お前に対する 俺の愛情だよ。
 
 そういう愛仕方を おまえさえ許してくれれば・・・俺は生きていかれる。】



その夜 私と別れてもヨシキは結構遅くまで飲んでいたようだった・・・・


そして、珍しく 翌日は 体調不良を理由に欠勤した。


多分 飲み過ぎたんだろうな・・・・


私に対してあんなふうに言ってはくれていたけど・・・・

高校時代からの思いを整理するには 多分それ相応の時間や境遇は必要だ。


当事者だから あまり偉そうなこともいえないし、慰めも嘘になるだろうから

私は何も知らないフリをした。





それが ヨシキして上げられる 私からの最後の優しさのような気がしたから・・・・