仕事帰りのヨシキを捕まえて 飲み屋へ入る。

生ビールを半分ほどい一気に飲み干すと ヨシキがうれしそうに私をみた。

なんか 彼を裏切るようで後ろめたい・・・・

何故か 一瞬そんな思いが脳裏を横切った。

「ねぇ・・・・ヨシキ?」

「うん?」

「実はさ・・・・私 来月10日から2週間ほど 長期の休みを貰おうと思ってるの。」

「なんで?ここんところ 結構ちょく ちょく 休んでいたから気にはなっていたんだけどさ・・・・」

「私さ・・・・ある人の 骨髄移植のドナーになっているんだ・・・・」

「ある人って・・・・大出 旬?」

「えっ?どうして そう思うの?」

「週刊誌でも 彼の再生不良貧血の状態が良くない事くらい 読んでるよ。沢山の
 ドナー希望者がいるということもね。」

「そんなに沢山いたの?」
【くそったれ 瀬川が・・・・そんなこと一言も言ってなかったじゃんか・・・】

「まさか 浅香まで応募してたとは以外だったな・・・まぁ、なんだかんだで
 色んな縁があったようだし・・・当然といえば 当然か・・・でも、適合
 するなんて なんだか 悔しいな・・・」

【違うんだってば・・・・私の場合は もう ドクターから言われて 半強制的!!
 見たいなもんだったんだってばさ・・・・】


「でもね・・・・職場や周囲には 黙っていて欲しいんだわ。」

「えっ?マジで大出 旬のドナーなわけ?」

「だって・・・今 あんた 悔しいって・・・・・」

「えっ・・・だって 普通は お互い知らさないもんなんだろ?」

「普通じゃないから ヨシキにこうして 話したんでしょうが・・・・」

「あ・・・・」

私の一言で今度はヨシキが固まってる。