触れた髪から かすかに 本当にかすかに 由真の体温を感じた・・・・

由真が 小さな声を上げて 顔を上げた。

寝ぼけ眼で 一瞬だけ 旬の顔を見たが またすぐ 顔の向きを変えてうつぶして

休みはじめた。

「ふ・・・・」【かわいい 奴・・・・】

喉が渇いていた。

由真を起こさないように そっとベッドから抜け出さそうとして 貧血で

ふらついた。

思わず 由真の背中に 旬の手がついてしまった。

「あっ・・・・」

旬の発した声とほぼ同時に 由真が 電流にはじかれたように 起き上がった。

「ごめん。」

「い・・・いいの・・・・」

なんとなく 照れくさくて 私は目を伏せたまま答えた。

「明日も仕事じゃないのか?いいのかよ・・・こんな所にいて。」

「明日は・・・・休み。」

「平日・・・なのに?」

「うん・・・たまには さぼりたくて・・・・あはは・・・あっ・・・
 それより・・・あら・・・こんな時間なんだね・・・何処へ行こうとしたの?」

「喉 渇いちゃって・・・・」

「そっか・・・じゃぁ、ロビーでドリンクでも・・・する?」

「本当は ロビーじゃないほうがいいんだけど。」

そう言って あいつが 苦笑した。

「早く 治したら?そしたら 付き合ってあげるよ。」

私の言葉に あいつが 少し驚いたようなまなざしを向けて笑った。

「お酒・・・・だけ?」

「う~~ん。」

思わずうなった私を見て 少しあいつがうれしそうに微笑んだ。

「なに・・・」

「はじめてじゃん・・・速攻拒否らなかったの・・・」