そして 私の横を無言で通り過ぎると 病室めがけて駆け出した。

【えっ???なんで 急に??】

理由が飲み込めないままに私も彼女の後について駆け出していた。

病室を覗くと・・・・・

あれ?カラ?

彼女が唇を噛むと あわてて今度は 非常階段へ向かって走り出した。

【な・・・なんで 今度は非常階段???】

非常階段の鍵が開いている・・・

【まぁ・・・かかっているところが多いのに・・・即開くなんて・・・】

彼女は屋上を見上げると ナースサンダルをパタパタさせながら

一気に3階から屋上まで駆け上がった。

【す・・・・すげぇ・・・・私は 死にそうだ・・・・】

息を整えてがたつく足を支えるので精一杯・・・

日頃の運動不足を痛感してる 私のそばで 周囲を見回してた彼女が叫んだ。

「見晴らしいいでしょ?!!」

【はっ・・・・はぁ????】

顔を上げてそっちを見ると あいつが フェンスの・・・えっ???

向こうに立ってる???

【な・・・・なんでぇ???えっ・・・・まさか ここから・・・・】

彼女が あいつを刺激しないように そっと 近づいていく。

「見晴らしいいけど、 そこから見るのは かなり 危険よ。
 こっちに来て一緒に みない?」

彼女の言葉に あいつが その場にへたりこんだ。

へたりこんだ あいつのそばにしゃがみこんで 彼女が優しく微笑んだ。