「縁が あった男なのに 身元がわかったら そそくさと 離れるの?
 その方が よっぽど 薄情なんじゃないの?」

そうだろうか・・・・

私とあいつに なんの縁があるというのだろうか・・・

気がついたら 警察に二人でいた。

成り行きで 病院まで付き合う事になった・・・・・

それだけじゃないの?・・・・


電車やバスでたまたま 席が隣同士になっただけの人間関係と一緒じゃないのかよ。


不満げな表情を浮かべると あっこねーさんが やんわり微笑んだ。


「飲み屋で意気投合するのって・・・同じ匂いを相手に感じた時と
 頼れる相手を見つけた時が多いんじゃないかと思ってね。
 私は 少なくともそうだからさ・・・あっ・・・そろそろ お仕事の時間だ
 いつまでも 油売っていたら 美由紀に怒られる。じゃあね。」

あっこねーさんは かっこよく 手を振ると 私に背を向けた。


ああ・・・果てしなく 疫病神みたいな 男を拾ってしまったもんだ・・・・

ため息がでた。


少しは お腹の痛み、取れたのかなぁ・・・・

邪険に追い払われたのに 懲りない私も馬鹿やろうだ・・・と思いながら

私は 「大出 旬」の病室に再び足を向けた。



病室を覗くと 旬は 入り口に背を向けて 点滴を受けながら 眠っているようだった


奴を起こさない様に そっと 椅子に腰をかけて  保険証をみた。


【私より 2歳年上?あれ・・・・・やだ・・・私と同じ誕生日ジャン・・・

 もしかして 記憶にないはずの 拾得原因は これ??か・・・・】

そんな事を考えていると 奴の背中が動いた。

思わず 反射的に奴の保険証を隠した。