マスターの言葉を聴きながら あの日、あっこねーさんが 私に言っていた

「信じようとする気持ちが大事」という言葉が脳裏をよぎっていった。

「あの日から3ヶ月間・・・あいつはおまえに 一方的に誤解されたまま
 ずっと 苦悩してたんだよ・・・・会ってないだろ?電話だって 番号まで
 かえて・・・・あいつ 連絡取りたくても取るすべすらなかったんと違うか?」

ヨシキが言った。

「お嬢さん・・・私からも誤解の原因を作ったのは 私だから・・・・
 奴に会ってやってくれないか?このままだと 奴は 本当に駄目になってしまう
 」

「信じなかったのは、私・・・・私だから・・・・」

「だから?」

「会っても、それがわかれば 解決にはならないですよ・・・・」

私の言葉に 重たい空気が流れた。

「でも、このままじゃ、私の気持ちが済まない・・・・」

マスターがボツリ・・・といった

「いい加減にしろよ・・・・」

珍しく ヨシキが 感情を押し殺したように言った。

「なに・・・」

「お前が 何かを理由にあいつから 逃げるのは自由だ。だけどさ
関係ない人達を巻き込むなよ。 マスターにしてみたら ずっと
自分のせいで 大出 旬を苦しめてきたと 思ってきたんだから・・・」

「ヨシキは 私が 彼と会っても 平気なの?」

「平気じゃないさ!!本音はあって欲しくないよ!!だけどさ、
 嫌なんだよ!今みたいな 状況で おまえのこと 手にいれるなんてさ
 お前だって 引きずってるんだろ?あいつの事・・・・わかるよ それくらい」

マスターの携帯がその時鳴った。


「あ・・・・・ああ ・・・・どうした?えっ?!すぐ行くから!!
 わかったな!!早まった事は辞めるんだ。わかったか?」

携帯を切ると マスターがちらりと私に目をやりながらヨシキに言った。

「ちょっと、緊急事態なので 続きは 後で!!」

「誰から・・・・」

「あ・・・・まぁ・・・・」言葉をにごした マスターの様子にヨシキが

すべてを悟ったように 私を見た。

「マスターといけよ。大出 旬がどんな状況か その目で確かめて来いよ!
 逃げるなよ!!」