あじゃあじゃラブリー

そう言うと ヨシキは2つ目のジョッキーに口をつけた。

「俺・・・・自信ないし・・・・怖いんです」

「自信の有無はともかく・・・・怖いって・・・・誰が?俺が それとも浅香が?」

「両方です・・・・」

「なるほどね・・・・見かけによらず 臆病なんだな・・・・」

「ふ・・・そうかもしれないです・・・・俺には 愛情という感情がよくわからない」

「そうか・・・俺は浅香とは 高校時代からの付き合いでね・・・・あいつは
 中学の時同じクラスのリーダー格の男の子に拒否されてね、そのお陰で
 いじめとまではいかなかったようなんだが クラスメートと3年間うまく
 コミニュケーションが取れなくて ずいぶん 辛い思いをしたらしい・・・
 
 それがもとで 高校へ入っても 自分からクラスメートの輪の中に入ろうとしなかった
 いつも 一人で 図書館や教室で読書ばかりしているような奴だった。」


「ああ・・・それで・・・・」

「それでって・・・?」

「会話にはセンスがあって面白いなって・・・・思ったから・・・・」

「ああ・・・そうだな。でも、そんなこんなでさ、あいつ 自分は男にもてる
 魅力なんて無いと思っている。会話の端々に感じるだろ?どことなく
 逃げ腰みたいな感じ・・・・」

「ええ・・・素直じゃないというか・・・・」

「そう・・・上手く甘えられないんだよ・・・・あいつも おまえと似てるんだよ
 俺は、その辺をわかっているから・・・・あいつは 心を許して甘えてくる。
 俺を男だと思って意識してたら・・・・多分あいつは 甘えてこない。
 自分が 好きだと思う感情も、嫌われたくないから・・・失うと怖いから・・・ 
 という脅迫観念から 無意識に 素直じゃない台詞を並べて 逃げ腰になる」

「それじゃ・・・・エイズ検査も・・・」

「多分 とっさに口から出た 逃げ口上だろうな・・・・」

「もう2度と来るな・・・・っていったのも・・・・」

「気持ちは裏腹だな・・・・」