愛する妻へ


黙っててごめんね。本当にごめん。
謝っても、謝っても謝りきれない思いでいっぱいだ。
出張だとか嘘付いてごめんね。君に心配かけたくなかったんだ。

手術の成功率は低い。これが、この手紙が最後だったらって考えると手が震えるよ。

実はこれは5回も書き直してたりする。
何回書いても涙で台無しになっちゃってね。情けない夫でごめんね。



君との出会い今でも覚えてるよ。
君は僕の働いてる会社の受付嬢だったよね。一目惚れで毎日朝が楽しみだったのを覚えてる。

初デートは、水族館。

夫婦になって初めて食べたオムライス、卵がちょっと焦げてたけど僕は世界一の味だったと思う。

君は子供が出来ない身体だったけど、一度だってそれを恨んだことはない。
子供が出来ない分、君を何倍にも愛せるんだからね。

昨日の電話嬉しかったよ。



今までのことを書き出したら止まらなくなるからこれだけしか書けないけど、君と過ごした時間は何一つ漏らすことなく大切なものなんだ。

君が泣くところは見たくない。